王様と私のただならぬ関係
「お前に任せておいたら、また秀人が喰われる」
と言うが。

 いやいや。
 明日香、秀人は食べてませんからね。

 秋成だけですよ、と思いながら、いっそ、水槽だけ預けようかと()ねていると、近くの部屋のドアが開いて、あのOLさんが現れた。

 あっ、と気づいたようにこちらを見て、ぺこりと頭を下げてくる。

 そして――。

 おお、格好いい。
 あのOLさんの彼氏さんだろうか。

 秀人とは全然タイプの違う、いかにも男らしいと言った感じの男前が現れた。

 OLさんと二人でペコペコ頭を下げ合っていると、その男も軽く頭を下げてくる。

「彫像が……」
と彼女になにかを言いかけ、袖を引かれていた。

 やはり、貴方にも彫像に見えますか、と苦笑いしながら、頭を下げ、部屋に入った。
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