王様と私のただならぬ関係
 溜息まじりに秀人のことを語る緋沙子は、どうやら同期のようだった。

「ついたあだ名はキングよ。
 研修中から、もうキングだったわ……」

 なにかいろいろ大変そうな人だな、と思っていると、みんなが社食の入り口の方を振り返っていた。

 秀人たち、研究員がやってくるところだった。

 時間が合わないせいか、社食で会ったのは初めてだった。

 ……だからポスターだなんて思っちゃったんだな、と思う。

 他の研究員の人たちと一緒なのだが、何故だか、王様が配下の者どもを引き連れてやってきた、という感じに見える。

 王様と言っても、威張りくさっている王様ではなく、超然としているというか。

 この世ならざるもののような雰囲気だ。

 天上の王様とでもいうか。

 あの綺麗な顔でなに考えてるんだろうなーと思いながら、明日香は眺めていた。

「秀人」
とトレーを手に近くを通った王様に、さすが同期、緋沙子が普通に話しかけていた。

「みんながあんたのこと、王子様みたいだって」
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