王様と私のただならぬ関係
 


 ……どうしよう。
 殴っちゃおっかなーと思いながら、明日香はもう膝の上で拳を作っていた。

 あー、殴りたいー。

 なんだ、それ。
 結婚したいんなら、もうデートとかしなくていいじゃないかって。

 そもそも、誰かとさっさと結婚したがってるのは貴方だけで、私は、なんとなく引きずられてるだけですからねーと思っていると、

「昔は写真だけで結婚したりしてたんだぞ、明日香」
とか言ってくる。

 よし、殴ろう。

 運転中だが、とあの辺の、他の車に迷惑かけなさそうな、交通量の少ない辺りで、と明日香が先を見ながら、殴る位置を心に決めたとき、秀人が言ってきた。

「写真だけで結婚しても、俺はかまわないぞ、お前なら」

 赤になった。

「デートとか名目つけなくてもいいじゃないか。
 結婚してから、二人で出かければ。

 お前と出かけるのなら、何処へ行っても、そこそこ楽し――」

 どうしたっ!? と赤で振り向いた秀人に言われる。
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