添い寝は日替わり交代制!?

 頭を占拠する様々な思いに頭痛がしつつ、踵を返して玄関に向かった。

「あれ。俺としないんですか?添い寝。」

「私も男と寝ても嬉しくありませんので。
 職場で仮眠を取って明日に備えます。
 しかし中島さんには………。」

「はい、はい。分かってます。
 俺と添い寝したってことにしておきますよ。」

 言わなくても理解してくれる宇佐美くんは頭の回転がいい。
 だからこそ、くせ者だ。

 即座に私が断れない理由を電話口で告げたのだから。

 宇佐美くんのアパートから職場に向かう道で電話での会話が思い出された。

『誰と一緒に居たいかを決めるのは中島さんだと思います。
 それに佐々木課長の本性を中島さんに伝えてもいいんですか?』

「本性……。」

『俺、知ってるんですよ?
 自分の権力を最大限に使って中島さんを部下にしたり、他にも色々………。』

「ッ!これ以上、何も言わないでください。」

『俺だって中島さんに興味があります。
 俺も同じ土俵に上がらせてもらえないとフェアじゃないですよね?』

 仕方ないんだ。仕方なかったんだ。

 中島さんの口から「宇佐美くんとも添い寝したい」と聞きたくなくて自分から宇佐美くんとの添い寝を提案してしまう始末。

 本当なら宇佐美くんなんかに渡したくなかった。

 それでも今、中島さんは他の男の元にはいない。

 それだけで例え職場での仮眠だとしても安心して眠りにつける気がした。

< 46 / 98 >

この作品をシェア

pagetop