添い寝は日替わり交代制!?

 お昼休み。
 同じ職場の人達で近くに座って食べるのが日課になっている。

「今日はびっくりしたぜ。
 まさかの佐々木課長がコーヒーを持ってきてよ。」

 コーヒーを頼まれた2人の先輩が顔を見合わせて苦笑する。
 太田先輩と藤森先輩。

「すみません。
 コーヒー淹れながら居眠りしてしまって、気付いたら佐々木課長が立っていました。」

「ゲッ。それって恐怖〜。」

 太田先輩がおちゃらけた声で笑う。

「なんだろうな。
 別に誰かに声を荒げて怒るとか、そういうことをする人じゃないんだけど……。」

 腕を組み考えこむ藤森先輩にみんな頷いている。

 そうなのだ。
 それなのにみんなに怖れられている。
 私も怖い。

「そりゃあの敬語じゃない?
 誰だろうとクソ丁寧な敬語が逆に緊張するでしょ?
 あんなに出来る人に敬語で話されちゃさ。
 狙ってやってんじゃない?」

 吉田先輩も話に加わると佐々木課長談義で大盛り上がりだ。

 そっか…。あの敬語は確かに…。
 でも昨日は敬語だったけど、柔らかかったなぁ。

「あの……。
 佐々木課長は酔えば柔和になりますか?」

「甘い甘い。そんなわけない。」

 え…っと甘い考えなのは私ってことだよね?
 甘々だったんだけどなぁ。
 昨日は佐々木課長自身が。

 心春の気持ちを知ってか知らずか太田先輩は話を続ける。

「飲んでも接待でもあのまま。
 ニコリともせずに丁寧な敬語オンリー。
 まぁ取引先にはそっちの方が信用してもらえるみたいだから、いいんだろうけど。」

 確か昨日は接待と言っていた。
 太田先輩も同じ接待に参加していたはずだ。
 太田先輩はずいぶん飲んだようで遅い出社だった。

 酔った佐々木課長をよく知る人からそう言われれば、そっちが正しい佐々木課長だろう。
 昨日のはなんだったんだろう。
 やっぱり夢なのかなぁ。
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