添い寝は日替わり交代制!?
31.すれ違う心
「良かったね。
 佐々木課長と気持ちが通じ合って。」

 今日は土曜日。
 陽菜とファミレスに来ていた。

 一番に報告しなきゃと思ってランチをしようと誘ったのだ。
 ファミレスでランチした後にドリングバーのジュースを飲みながらずっとしゃべっている。

 学生の頃に戻ったみたい。
 しかもそれが私の恋話なんて嘘みたいだ。

「でもさ…。」

 本当は嬉しい報告。
 でも早くも悩みがあった。

 好きだと気づいた時は好きだと気づいた方がつらいことに驚いた。
 今は気持ちが通じ合ったらそうなっただけの悩みが出てくるなんて。

 好きだって伝えて佐々木課長の気持ちも聞けて嬉しかったはずなのに……。
 それから週末まで今までと何も変わらなかった。

「キスしたのも最初の1回だけ?」

 陽菜につっこまれてドキリとする。
 キスしちゃったんだ。佐々木課長と。

 そう思うだけで顔が熱くなるのが分かる。
 でもそれっきり。それだけ。

 好きだって自覚して添い寝なんてドキドキした。
 だって佐々木課長は大人だし、私だって一応大人で。

「それなりの覚悟みたいなのは…ねぇ。」

 いつも通り過ぎて佐々木課長が寝たのを見計らって、自分からこっそりくっついてるくらい佐々木課長からは何もない。

「心春の覚悟って言ってもさ。
 佐々木課長は大人だから心春のこと大切にしてるんじゃない?」

「大切…にされてるのかなぁ。」

 会社では相変わらずだけど、マンションでは酔わずに柔らかくて優しい佐々木課長は貴也さんという感じで嬉しいんだけど…。

「やっぱり佐々木課長は大人だよね。」

 佐々木課長は大人で自分が子どもっぽいんだと痛感してしまう。

「ん?そりゃそうでしょ。」

 あっけらかんに言い放つ陽菜がうらやましい。

「今まで彼女もいたみたいだし、そういうことなんともないっていうかさ。」

「何?何?昔の彼女にヤキモチ?」

「だってー。私も元彼みたいな人がいて今までにそういうことしたことあったらまださ。」

 初めての彼が佐々木課長なんて、なんだかハードルが高過ぎるし。

「何?じゃ今からでも宇佐美くんとしてみる?」

「な、なんでそうなるの!?」

「そうでしょ?
 そんなこと考えても仕方ないよ。
 今、心春は佐々木課長が好きなんだもん。
 で、佐々木課長も心春のこと好きって言ってくれてるんだよ?
 今の佐々木課長を信じてあげないでどうするの?」

 そうなんだけどさ。
 私ばっかり好きみたいで…。



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