だったらあんたが堕ちてくれ

今日のメニューは俺の好きなとんかつだ。

なのにどうして、こんな状況じゃ味なんて全然分からない。

それはもう、視覚で確認しないと何を食べてるのかすら分からないほどに。

いつもなら賑やかなはずの時間だった。

父の方針で食事中のテレビは禁止されている。

「一日の始まりと終わりは、家族の絆を深めるために使おう」と言うのが発端だ。

その家族の時間に、今日は打って変わって葬式のような重苦しい空気が流れる。

カチャカチャと食器の擦れる音だけが虚しく響く。
< 19 / 389 >

この作品をシェア

pagetop