たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
俺はどうしてあの娘を買ってしまったのだろう?

決して一夜の愉しみとして買ったわけではない。

華奢な体にムチうたれて気の毒になったことは確かだ。

見ていて何故か情が湧いてしまった。


エルンストは自室でワインを飲みながら、自問自答していた。


「全く、売り言葉に買い言葉とはこのことだ」


普段冷静な自分がいったいどうしてこんな愚行を犯したのだ。

奴隷を買うなどベーゼンドルフ家始まって以来のことだ。

親父もあの世で怒っているに違いない。


エルンストは自嘲気味に笑った。


男ならばまだ使い道があったものを。馬屋に住まわせたとて何の問題もない。

女奴隷とは厄介な買い物をしてしまった。


グラスのワインを一気に飲み干し、無造作にサイドテーブルにそれを置く。
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