たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「とにかく陛下は年若いグレーテに夢中でな、今ではこちらにほとんど顔をお出しにならない。取りつく島もないのだ」

ゾフィーに視線を送ると、涙を流し続けている。

本当なら今頃は夫婦で喜びを分かちあっているはずが、悲しみにくれているとは不憫な話だ。

エルンストは席を立つとゾフィーの肩に手をやる。


しかしグレーテと言う娘、そこまで陛下を夢中にさせるとは、どんな娘なのだろう?

ファーレンハイトなら知っているに違いない。


「伯父上、私からも一度陛下とお話ししてみましょう」


「おお、そうしてくれるかエルンスト」


幼いころから自分を兄として慕ってくれるゾフィーはエルンストにとって妹のような存在だ。そのゾフィーが苦しむ姿を見るのは忍びがたい。


エルンストはユンゲルスと握手を交わし、「必ず事態を好転させる」そう約束すると退出した。
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