たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
人間の醜い部分、サディスティックな感情をゲオルグは存分に楽しんでいた。

奴隷の身分を隠して侍女となったフィーア。

その主人エルンスト。

その二人を責める快感。

しかし、それよりも目の前にいる美しい女が、高貴な身分であった女が、奴隷になったことを想像すると、愉快でならない。


「ではエルンストの処分はどうするか?奴隷を侍女にするなど決してあってはならんからな」

「陛下っ!」今度はファーレンハイトが叫んだ。

それを無視すると、「奴隷のお姫様はどうしたものか....?世に恥をかかせたのだし。とっくに死んだと思っていた人間が生きていたとなれば....」

もっと屈辱を与えてやりたい。意地悪くゲオルグは口元を歪め、その瞳は鬼畜そのものだった。

ゲオルグは幼児性の残る男だった。
全てが自分の思い通りに行かないと感情を爆発させる。皇帝の立場がそれを助長してしまっていたが、皇妃ゾフィーはそれをうまく抑えてゲオルグを懐柔してきた。
ゲオルグの善政の陰にはゾフィーの存在があった。

それがゾフィーを幽閉し側室のグレーテに寵愛の矛先を変えたとたん抑えられていた幼児性が再び爆発し、最近の悪政へと繋がっている。



「あの時、世の求婚を受けていれば、今頃は宮殿で優雅に暮らしていたものを」

優越感に浸りながら得意気に語るゲオルグをフィーアは無感情に見つめていた。


求婚を断った.....?

エルンストはゲオルグから聞いた話を思い出していた。


まさか?

そうだ確か、大陸一美しいと言われたフォーゲルザンクの姫にゲオルグは求婚し断られたと聞いたことがある。

それがフィーアだったのかっ?!

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