たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「フィーアの美しさにはこのバラもかなわないけど、これをお守りにお帰り」

「綺麗、ありがと。ギード優しいのね」差し出されたバラをそっと受け取る。

「フィーアだからさ」


「まあ」口では喜んでみせるけれど、心は浮かない。

わたしが奴隷と知ったらこんなことしてくれない。心にずしりと重い枷を感じる。




ギードと別れ町のはずれ近くまで歩いて来ると、酔っ払い同士が喧嘩しているのが見えた。


「てめえが俺の女房に手ぇだしたんだろうが!!」


「お前のへちゃむくれの女房なんて、こっちからお断りだぜ!!」


「何だと!!」


激高した男は剣を抜いた。


「やる気かっ!!」もう一人の男も剣を抜いた。



平民に帯剣は認められていない。

質素な服装から、どうやら下級貴族同士の喧嘩のようだ。
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