彼と私の優先順位
「こんなとこで言うのもなんだけど……今日は来てくれてマジで嬉しい」



巴ちゃんと同じ支店に勤務する柘植くんは今日の幹事で。

学生時代にラグビー部に所属していたというだけあって引き締まったガッシリとした体型をしている。

清潔感のある短めの髪に、優しい瞳。

身体は大きいけれど、いつも皆を気遣うとても優しい人だ。

お手洗い前の狭い廊下は、柘植くんの大柄な身体のせいかさらに狭く感じる。



「ううん……いつも誘ってもらっているのに、なかなか参加できなくてごめんね。
今日もお店の予約とか色々してくれてありがとう」

幹事の柘植くんに、今日のお礼も伝えてなかったことを思い出して、慌てて伝える。

「いや、そんなの全然。
むしろ、紬木が来てくれる同期会の幹事で良かったよ」

心底嬉しそうに笑ってくれる柘植くんに私もつられて笑みを返す。



「あ、あのさ……良かったら今度一緒に飯食いに行かない?」

少し言いにくそうに話す柘植くん。

「え……あ、柘植くん、顔が真っ赤だけど飲み過ぎてる?
大丈夫?」

返事よりも顔色が気になって思わず尋ねる私に。

「いや、大丈夫。
ちょっと、今日は紬木と話さなきゃと思っていたから、そんなに飲んでいないんだ」

居心地悪そうに答える柘植くん。

「私に?」

キョトン、と私が柘植くんを見上げた時。

< 107 / 207 >

この作品をシェア

pagetop