イジワル副社長の溺愛にタジタジです
今度こそ一階の化粧品フロアに行き、ドゥシャインのブースに向かう……はずなのに途中で方向を変え、なんとライバル社、カミラのブースに行くので焦る。


「私、ドゥシャインの本城と申します。責任者の方はどちらですか?」


しかも、堂々と名乗ってしまう有り様だ。

とはいえ、容姿端麗な彼は、ドゥシャインの宣伝も兼ねてよくマスコミの取材を受けているので、バレるのも時間の問題だけど。


「は、はい。私です」


すると、三十代半ばくらいの社員が慌てて名乗り出た。


「お忙しいところ、すみません」

「副社長さんですよね」


彼女は彼のことを知っていたようだ。
しかも目尻が下がっている。

騙されちゃダメよ。
この人、けっこうチャラいから。

そんなことを心で唱えながら、私もにっこり笑ってみせた。


「はい。最近カミラさんから出たリップグロスが評判だとお聞きしまして、実際に見てみたいな、なんてお邪魔しました」


もう見たことがあるくせに。
しかも商品開発部で分析した成分表まで見ている。


「は、はい。こちらです」


彼女はグロスをいくつか持ってきて、本城さんに手渡した。
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