プルースト

恋…恋と言われてしまえば、否定はできない。私は先輩のことが好きで、会うたび、姿を見るたびに心臓が掴まれるような鈍い痛みを抱えていたりするのだから。

「りっちゃんはすぐわかっちゃうね」

「もちろん。つむぎの友達だからね」


そう言ってにこりと笑うりっちゃんは
中学の頃と全然変わっていなくて
少しだけ胸が解れて、私も笑った。



それから私は、誰にも言ったことのない先輩の話を
こっそりとりっちゃんに話して聞かせた。

りっちゃんは目を丸くして、笑って、にやにやして話を聞いてくれて
最後にがんばれ、と言って私に飲みかけの三ツ矢サイダーをくれた。


喉の奥ではじける炭酸は青春そのもののような気がして
じわっと広がる微かな痛みは恋に似ているかもしれない、なんてぼんやり思った。



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