空の色をおしえて
わたしが住むシェアハウスからダウンタウンまでは、車で15分ほどの距離だ。
大通り沿いには、学校やショッピングモール、動物園や美術館、何でもあった。
秋人が憧れた、住みたいと夢みた都市。
1年前、初めてこの街を見た時のことを思い出す。
彼のおじいさんが暮らしていたという陽気な街は、人々も建物も、空気すらもキラキラと輝いていて、わたしは衝撃を受けた。
生きる希望も勇気も失って、もう何にも心を動かされることはないと思っていたわたしの目に、たくさんのカラフルな色が飛び込んできたのだ。
そしてその色のある世界で出逢った温かい人々との触れ合いで、氷のように固まりかけていたわたしの心は溶かされていった。
世界は広く、とても美しかったのだ。