素直になるのはキミにだけ
おかしい。松原くんがおかしい。


いつも茉夏が近づくと、あからさまに嫌な顔をする松原くんが、茉夏を自分の腕に抱き着かせた。自分から。




……もしかして、熱でもある?




ドンッ


そんなことをぐるぐる考えながら歩いていると、あたしは誰かに衝突した。




「沙弥ぴょん、あれ見ていろいろ考え事してるんでしょ?」



「部長…!」



抱き合う(?)松原くんと茉夏を指さし、部長はにやにやとする。




「冬馬はねぇ、茉夏っちが嫌いなわけじゃないんだよ」




「え?」




「あれはただのツンデレ」



……なんだ、ってことは茉夏の恋はかなわない恋ではないってことだよね?

< 169 / 313 >

この作品をシェア

pagetop