素直になるのはキミにだけ
ブーッ、ブーッ……

「もしもし?東堂くん?」


『春風、どこ行ったんだよ!あと1時間で青葉台の方の電車がとまりそうらしい。帰るなら今しかない』

「……東堂くんはみんなを連れて帰って」

『は?お前は?』

「実家に泊まる!じゃああとはよろしくね!」



いくら敵とはいえ、緑ヶ丘のみんなはあたしにとって大切な存在。


仲間が困ってるのに、見過ごして帰るわけにはいかない。



「あ、沙弥!!こっちこっち!!」


手を振る茉夏を見つけ、あたしは緑ヶ丘の軍団をかき分けてある人物を探す。



「川瀬くん!」

「…っうお!!春風!!なんでまたここに」

「それは後。電車は?動いてるの?」

「あぁ、まだ動いてる路線の人は先に帰したんだけど、すでに止まってる奴らが…」



残っているのは川瀬くん、茉夏、松原くん、秋本をはじめとする15人程度+先生。これなら…



「一回、全員あたしの実家に連れて行く」


……。

「「「「「え?」」」」」


突然現れて突拍子もないことを言い始めたあたしに、部員たちは目を丸くした。



「電車が動いたら帰ればいいし、最悪泊まればいい。うちと秋本家で分ければこのくらいの人数ならいけるはず。」


あたしはスマホを出し、お母さんに連絡する。

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