私の二人の神様へ
「はぁ!?」
「やだ!そもそも榊田君と私の問題でしょ?それを理由に、どうして仁くんとの食事がダメなの?私だって妥協したのに」
「何が妥協だ。偉そうに。俺とのことを最優先に考えるのが当たり前だろ?仁より俺のことを考えろ」
もう面倒くさい。
そう思った。
堂々巡りで、お互いが納得することはない。
榊田君は私が仁くんとの約束を取りやめることでしか納得しない。
仁くんとのことを、とやかく言ったりしないって言ったのは榊田君なのに。
私は、うんざりしてため息を吐きながら目を伏せた。
「……わかった。したいならして。今日、榊田君の家に泊まるわ。それで良いでしょ?だから、仁くんは招待……」
途中で、ぞっとした。
今までには経験したことがないほどの冷ややかさが私を包んだ。
私を見る榊田君の目は冷ややかだった。
いや、彼の纏うもの、全てが。
少しでも動けば、切られてしまいそうなほど鋭く、冷ややかな視線。
何度か、彼を怒らせて経験しているけれど、そのどれとも違うのは。
冷ややかな目なのに、殺されてしまうのではないこと思うほどの深い憎悪と、私への諦めを感じ取ったからだ。
身が竦み、震えを止めようと両手を強く握り締める。
「……あいつと会いたいがためだけに、俺に抱かれるってか?それだよ。水野。俺のことなんて考えるのが面倒くさいって思ってるって言うのは」
榊田君が水の入ったコップを掴んだ。
水をかけられると思って、目を強くつぶって身構えた。