私の二人の神様へ




「はぁ!?」



「やだ!そもそも榊田君と私の問題でしょ?それを理由に、どうして仁くんとの食事がダメなの?私だって妥協したのに」



「何が妥協だ。偉そうに。俺とのことを最優先に考えるのが当たり前だろ?仁より俺のことを考えろ」



 もう面倒くさい。


 そう思った。


 堂々巡りで、お互いが納得することはない。


 榊田君は私が仁くんとの約束を取りやめることでしか納得しない。


 仁くんとのことを、とやかく言ったりしないって言ったのは榊田君なのに。


 私は、うんざりしてため息を吐きながら目を伏せた。



「……わかった。したいならして。今日、榊田君の家に泊まるわ。それで良いでしょ?だから、仁くんは招待……」



 















 途中で、ぞっとした。


 今までには経験したことがないほどの冷ややかさが私を包んだ。


 私を見る榊田君の目は冷ややかだった。


 いや、彼の纏うもの、全てが。


 少しでも動けば、切られてしまいそうなほど鋭く、冷ややかな視線。


 何度か、彼を怒らせて経験しているけれど、そのどれとも違うのは。


 冷ややかな目なのに、殺されてしまうのではないこと思うほどの深い憎悪と、私への諦めを感じ取ったからだ。


 身が竦み、震えを止めようと両手を強く握り締める。



「……あいつと会いたいがためだけに、俺に抱かれるってか?それだよ。水野。俺のことなんて考えるのが面倒くさいって思ってるって言うのは」



 榊田君が水の入ったコップを掴んだ。


 水をかけられると思って、目を強くつぶって身構えた。




< 136 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop