私の二人の神様へ
だけど私が行動を起こす前に、ばっ、と身を引く音がし、温もりが消えた。
怒らせただろうかと、恐る恐る顔を向けると榊田君が身を起こし、頭をガシガシと掻いていた。
「……何の準備もしてねぇ。というより、仁が来るんだよな?」
え?
仁くん?
…………
ばっ、と身を起こし時計を見るとすでに五時を過ぎている。
仁くんから五時半頃になると言われていた。
「そうだった。……わ、わた、し……」
「お前、仁のことすっかり忘れてただろ?」
そう言うと、榊田君はそれはそれは楽しげに笑った。
普段、顔面が麻痺しているのに、何がそんなに楽しいのか、嬉しいのか、あっぴろげに笑っている。
初めて見る顔だ。
何も、こんな時に見せなくても良いのに。
彼の笑い声を聞きながら、自分のいやらしさがあまりに恥ずかしくて涙がこぼれた。
「……そ、そんなに笑うことじゃないでしょ?」
自分が恥ずかしくて涙を拭いながら睨みつける。
「悪かった。泣くな」
う~う~唸っている私を軽く抱き寄せ、バツが悪そうに息を吐く榊田君。
「り、理性もない、ふしだらな女だと、お、思った?」