私の二人の神様へ
私の嫌味に、彼女は笑みを深めた。
敵はまだ攻撃を仕掛けてくるようだ。
「あら?随分偉そうだけど、俊の彼女なんて名ばかりでしょう?俊は彼女がいても、ちょっと誘えばあっさり乗ってくるって聞いたけど、水野さんはそれすら知らないのかしら?」
私が榊田君の彼女だと思っていて、この発言。
きっと今の私の顔には、榊田君に負けず劣らずの眉間の皺ができているに違いない。
「ただの噂でしょ?そんな噂を取り合うほど私は馬鹿ではありませんから」
歯を見せて、ニカッ、と嫌味なほどにっこり笑って見せた。
「モデル仲間に俊と同郷がいてね。その本人が俊に相手してもらってんのよね。俊は彼女がいたけどお構いなしだったって。噂の出所としては完璧でしょ?」
榊田君!!
今、彼がここにいたらその首を死ぬほど揺さぶりたい。
私の想像以上にふしだらな高校生活を送っていたらしい。
仁くんに最初に言われた時は、まさか、ぐらいにしか思っていなかったが、告白され意識し始めたら昔の彼の噂は聞こえてくるし、女の人の密着にあまりにも慣れ過ぎていると感じた。
まさか、こんな形で新たな真実を知ろうとは。
敵もなかなかやる、さすがは超大物。
口元が引きつる。
「む、昔のことでしょ?それに女優としても活躍されている紗希さんともあろう方が浮気相手なんて、つまらないことおっしゃらないで、真の彼女の座を目指したらいかがですか?」
眉も口もこれでもかと言うほど吊り上って、顔面体操をしているようだ。
明日は顔が筋肉痛かも。