私の二人の神様へ





「ガキみたいで、まったく食指が動かされない。つまんなさそうだ」



「…………」



「風呂あがるまで待ってただけありがたく思え」



 言いたいことは言ったと言わんばかりに、榊田君は布団をかぶった……


 いや、かぶろうとしたが、私が電気リモコンを投げつけたことで断念。



「……なっ、な、に、何、それ……そ、そんな風にい、言わなくた、って、お前みたいな、って……」



 あまりの物言いに、身体中が小刻みに震えた。


 お前みたいな。


 そんな風に榊田君も思っていたのだろうか?



『榊田君も水野さんみたいな子と付き合うなんて変わってるよね』



 ずっと、それこそ一年の頃から言われ続けた。


 イジメとか妬みとかではなく、ただ感想を述べたかのように、色んなところで。


 女の子だけでなく男の子だって、言っていた。


 悪意がないからこそ傷ついた、それが世間一般の考えだとわかっていても。


 そんな言われ続けた言葉を榊田君にまで言われるなんて。



「悪かった。今のは言葉のあやだ」



 私のかすれた声に榊田君はバツが悪そうに取り繕ったが、それが悲しみより怒りを呼び起こした。



「び、美人じゃないのも、い、色気がないのも、子供っぽいのもわかってるっ!だ、だから少しでも、って似合う下着をいっぱい探したわ!」



 クーラーリモコン。


 テレビリモコン。


 DVDリモコン。


 次々に榊田君に向かって投げる。


 そのたびにドコンっと壁に激突。


 そして、そのたびにカバーが外れ、電池が散らばる。



「わかったから落ち着け!」



 リモコンをさらりとかわすなんて。


 こういう時は素直にリモコンで頭を打ち付けるべきだ。


 そうすれば、私の溜飲も少しは収まる……かもしれない。



< 197 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop