私の二人の神様へ




 えっと、これは……


 どういうことデスカ?


 未経験な私にはこの意図がわからず、戸惑っていると。



「俺はもう寝るぞ。寝る時、電気消せよな」



 ベッドに寝転がっている榊田君は本を閉じつつ、電気のリモコンを私へと放ると布団に潜り込んで私に背を向けた。



 …………



 それを呆然と見ながら、落ち着いて状況整理。


 これはつまり。


 つまり、榊田君はベッドで、私は布団?


 つまりは別々に寝るということ?



「さ、榊田君。あの、私はどうす、すれば?」



 声を掛けると榊田君は面倒くさそうに目だけ布団から出した。



「あ?お前の布団敷いてあるだろ。眠くなったら適当に寝ろ」



 やっぱり、別々に寝るってことで間違いなさそう。



「え、えっ……あの……そ、それ、だと、と、とっ、泊まって、いる、い、意味が……」



 ないと思う、と恥ずかしくて最後まで言えずに俯くと、盛大なため息が寄越され、榊田君はこれまた面倒くさそうに布団から起き上がる。



「生贄か何かのつもりか?」



「へっ?」



 言っている意味がわからずマヌケな声が出た。



「仕方なくここにいますっていうのが滲み出てる」



「い、いいえ、そんな、ことはっ……」



「俺は、お前みたいなのに手をつけるほど女に不自由していない。美人でもないし、色気もないし」



「…………」



 リモコンがカタカタ揺れる。


 地震だろうか?



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