私の二人の神様へ
別に、自分を卑下しているわけではない。
才能はないかもしれないが、一つ一つ努力は積み重ねて来たし、何でも自分でできるようにしてきた。
自分が好きだ。
だけど、彼女たちのように彼らを惹きつける魅力はない。
だから、榊田君も私ではなくて、彼にふさわしいだけの人物を選んだのかもしれない。
仁くんが佳苗さんを選んだように。
榊田君は辛辣に言うけど、私の努力を認めてくれて、私のことを評価してくれて、好きでいてくれて……
彼も取られてしまう?
息を呑んだ。
床に置いてある英語だらけの解読不能な本。
それと同じくらい今の自分の気持ちがわからない。
わからない。
わからない。
今の私はどうしたいのだろう?
「どうした?休憩にするか?」
彼は私の顔を覗きこんだ。
彼の目を見たくなくて、避けるようにベッドに腰を下ろし天井を見る。
「そんなすごい料理も作れるとなると、私じゃ、紗希さんに敵うものがないな」
努めていつも通りの口調で言った。
明るく、冗談交じりに少し拗ねてみせて。
佳苗さんに敵わない、と言った時と同じように。
「そうだな。顔もスタイルも水野じゃ、小宮山に到底及ばない。まぁ。気にすることはない。相手はモデルだ」
彼は平然とそんなことを言う。
いつも通りの私でいられていることに、ほっとする。
仁くんだったら気づかれていただろうけど、榊田君には気づかれないぐらい上手く演技ができているようだ。