私の二人の神様へ
彼は、何ともタイミングが良い。
私の変化に気づいていないのに、私を救ってくれる。
私は何と馬鹿なこと考えたのだろう。
時間にして一分だろうか?
彼の心変わりを疑うなんて。
一分どころか一瞬たりとも疑うことは彼の誠実さを無にすることだ。
心変わりしたら、彼ならすぐに言う。
彼が何も言わず、私とこうして過ごしてくれているのなら、私のことを好きでいてくれている証だ。
何を、不安になって勝手に話しを作ってしまっていたのだろう。
本当に、馬鹿で愚かだ。
「お前、泣いてんのか?」
私は慌てて、目の淵を拭って、目を手で覆い隠す。
「何か、気に障ること言ったか?」
いつも通りの会話で泣かれて、彼は面食らってる。
「ち、違う。少し自分に自信がなくなってて。榊田君が褒めてくれたのが嬉しかったの。本当にごめんなさい」
心変わりを疑って、本当にごめんなさい。
そんな意味合いに彼は気づかないだろう。
「……何だか知らんが、お前は少女マンガの主人公みたいだな。センチメンタルで少女マンガの主人公は泣くらしいじゃないか」
彼の少女マンガへの認識はヘンテコだ。
おかしくて、思わず噴き出してしまう。
「一度少女マンガを読んだほうが良いわ。秋はセンチメンタルな季節だから少女マンガの主人公じゃなくても泣くの。ただ、それだけ。私が主人公だって言うならデリケートな存在だから慎重に扱ってよね?」
冗談めかしに小首を傾げて見せると、彼は胡散臭そうに鼻を鳴らした。
「確か、少女マンガの主人公は暴れ馬のように相手役の男を振り回し、かつ引き摺り回すと聞いたぞ」
「榊田君。あなたのその偏った少女マンガの認識は誰から受け継いだの?」
もう涙もセンチメンタルもどこかに吹き飛んでしまった。
榊田君のような涙もセンチメンタルもロマンチックなものに疎い彼といたら。