私の二人の神様へ




「それでも小春ちゃんに下手なこと言って、振られる理由を作らないように黙ったに決まってる。俊を嵌めようとしてもそう簡単に引っかからないよ」



「榊田君は、仁くんのことで何言っても仕方がないのわかってるからだよ。私にしたって、無意識に榊田君に不愉快な思いさせてるし。今回も」



「それでも、さっきの俊よりも幼馴染のほうが上、って言うのは普段の小春ちゃんなら言わない」



 広君は私のことも榊田君のことも良くわかってる。


 彼は敏い。


 だから、何か良い案を出してくれるかもしれない。



「どうすれば、穏便に済むかな?」



 紗希さんのことがあってから、榊田君との関係をどうするか散々迷った。


 曖昧な関係から、元の友達に戻るのが一番良い。


 彼と今の状態で付き合うことができないなら。


 いつまでも、待たすわけにはいかない。


 これ以上、私が彼を振り回してはいけない。


 彼を一番傷つけないのは、私に愛想をつかしてもらうことだと思う。


 でも、普段から無神経な私を見放さない彼が、そう簡単に愛想をつかすとも考えられない。



「俊のことが好きなんだろう?どうして、振る必要があるの?」



「榊田君、すごくイライラしてる。私といること苦痛に感じてる」



 居心地良さを感じてくれているのはわかる。


 だけど、時折苛立ちが見え隠れする。


 私といることに苦痛を感じる瞬間があるのがわかる。


 だから、このままではいられない。



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