私の二人の神様へ
「まぁ。お前がどれほど俺が好きなのかは良くわかった。だから、付き合おう。あの疫病神もたまには良いことするな」
そう言って、顔を覗き込まれた。
端整な顔を近づけないで欲しい。
これは本当に卑怯だと思う。
仁くんと言い、榊田君と言い、私がこういうのに弱いのを知っていてやっているのではないだろうか?
「うっ。ま、まだ、ダメ。付き合えない」
嫌なドキドキじゃないドキドキが私を支配して、彼の顔がやっぱり見ることができなく、目を瞑って首を横に振った。
良くわからないけど榊田君のことをやっぱり私は好きだし、何を悩んでいたのか今ではさっぱりだ。
「わかった。待つって言ったのは俺だしな。いくらでも待つから、俺を振る理由を熱心に探すくらいなら、俺と付き合う理由をより熱心に探せ」
榊田君はあっさり引き下がり、テーブルの上のノートに手を伸ばした。
赤ペンだらけのノートに。
「とは言っても、お前の場合、試験勉強を優先するべきだと思うがな」
私はさっと青ざめた。
「そうだった……。榊田君!わからないところがたくさんあるの教えて!」
私が縋りつくと、彼は口の端を上げた。
「良くそれで、俺のこと振ろうとしたな。俺がいなきゃ、お前就職浪人確実だぞ?」
「ちょ、ちょっと!榊田君が言うとシャレにならないよ!」
私がわたわた慌て出すと、彼は耐え切れず口に握り拳を当てながら声を出して笑った。
「事実だ。だが、安心しろ。俺がいる限り、お前の合格は保証してやる」
やっぱり、彼は私以上の自惚れ屋。
でも、彼の言葉は私にとっての真実だ。