私の二人の神様へ
「私は恋多き女になんてなりたくない。ずっと一人の人を想って、その人にもずっと自分だけを見ていて欲しいって思ってた」
「知ってる」
「最初の恋は叶わなかった。けど、この恋が最後の恋にしたい。ずっと榊田君を想っていたい。それでも良い?鬱陶しがられても、私、しつこく追い掛け回しちゃうよ?」
「で、それでとりあえず言いたいことはないんだな?」
真剣な表情で顔を覗き込まれ、ドキドキしながら頷くと、腕を引っ張られ引き寄せられた。
象さんがギコギコと音を立てる。
でも、それ以上に自分の心臓の音が大きかった。
彼の背中にそっと手を回し、抱きしめ返す。
榊田君は私の頭を撫でながら、私の肩口に顎を乗せ耳元で独り言のように呟いた。
「疫病神の娘は座敷童だったようだな」
そんな意味のわからないことを言って、肩をぐいっと掴まれて引き剥がされたかと思うと、素早く口を塞がれた。
頭が状況を理解するより先に、顔が熱くなる。
すごい至近距離で目が合い、堪らず目を強く閉じた。
「熟れ過ぎたトマトみたいだ」
「え?」
いつもの気のない榊田君の口調に、私はぱっと目を開け、瞬きを数度した。
「ぐしゃぐしゃな顔で赤いから」
条件反射で、彼と間合いを取り、勢いをつけて回転地獄蹴り。