私の二人の神様へ




 とにかく、榊田君との交際は順調。


 交際は順調でも、現実的に甘い雰囲気に浸れる状況ではなかったけど。


 本当に現実は意地が悪い。


 二月の中頃から交際がスタートし、それからその雰囲気に浸る間もなく、私は勉強へと追われた。


 そして、榊田君は彼女となった私にも容赦なくスパルタ指導だ。


 彼の就活は四月初頭にあっさりと終わった。


 二社受けて、どちらからも内々定をもらって。


 そして、迷わず就職する会社も決めた。


 何故それらの会社を受けたかと言えば、土日は休みで、残業管理が行き届いていて、給料も良いから、という現実的な答え。


 そんな待遇の良い会社は人気企業。


 人気企業故、恐ろしい倍率だったはずだが彼には関係なし。


 そして私はと言うと、榊田君の指導のおかげで安心できるラインを確保し、五月初頭から六月下旬までの筆記試験をこなした。


 まだ結果は出てないが、自己採点結果からしてほとんどの試験は一次を通りそうで、少し精神的に落ち着いた。


 今は七月中旬からの面接に備えて、大学で面接の練習をしている。


 やっぱり忙しいけど、筆記試験の勉強に追われている時ほどでもない。


 だから、少しは甘い雰囲気になるかと思いきや二人きりの時の過ごし方にも変化はない。


 つまり恋人らしいことと言えば、買い物の時に手を繋ぐ。


 帰り時に、玄関で交わす口付けぐらい。


 かといって、どうしたいのかと言えば、自分でも首を傾げるところ。


 とりあえず、幸せだからこのままで良いという結論にがすぐに出た。








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