浅葱色の忍
「渋沢さんを守りつつ、捕縛する」


「俺だって、剣術が出来る!
守って貰わなくとも良い!!」


「えー!怪我されたら、困ります!」


「俺が先に出て、指示する!
それから、捕縛してくれ!」


「は?渋沢さん、大丈夫かよ!?」


「僕達に任せて、見守って下さい!」


「俺が、任された仕事なんだ!!!」



上座で3人のゴタゴタを聞きながら
静かに待っていた山崎が



「チッ」



舌打ちをすると、渋沢が姿勢を正す



「渋沢 お前いくつだっけ?」

「はい!26です!」

「ふーん で?その若僧が、大沢相手に
先に出て指示するのか?」

「そのつもりですけど…」


山崎が立ち上がると渋沢の前に行き座る


「俺の指示は、覚えてんのか?」

「大沢を無傷で捕縛すること」

「手向かってきたら?」

「応戦します!」

「傷1つでも、つけてみろ…
切腹もんだからな…」

「え…」



スッと立ち上がり



山崎が土方と沖田の方を向く


「大沢は、生け捕りだ
指揮官は、渋沢
渋沢には、手を出させるな
現場では、新選組の判断で動けばいい
その判断は、土方に一任する
沖田、渋沢の護衛を頼む
こんな不甲斐ない奴でも
一目置いてるんでな」




山崎が部屋を出ようと歩き出す



「え? 聞き間違い?
山崎さん!俺に一目置いてるんですか!?
すげぇ! 俺! 頑張ります!!」



「聞いてなかったのか?
お前は、手を出すな
一目置いてるのは、使い方がさっぱりな
お前の頭の方だ
頑張らなくていい 土方らを見て
頭の使い方を学べ」




山崎が出て行った部屋で

渋沢が大興奮する



「あの人が、お世辞にも人を誉めるなんて
凄いですよ!!」



冷ややかに土方が言う



「使い方さっぱりな頭って、誉めてるか?」


「喜んでいるから、いいじゃないですか」














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