浅葱色の忍

近藤勇

いくらのん気な私にも
伊東君の言葉の意味が理解出来た


「体を売らせたのかい?」


「うふふっ」



烝を見ると真っ青になり
すでに、廻りの声も届いていないようだ


これが暗闇に落ちるときなのだと察し


落としてなるものかと

烝を抱きしめた




信用して、裏切られて
殺したいほどなのに
我慢して、伊東君を許すことにした
そんな烝が、烝だけが苦しんでいるなんて




「言っておくけど、皆、共犯だからね!」





クイッと酒を飲む





伊東君に何か言いたかったが
烝を抱き抱え
部屋を出た


私が言わなくても、歳が言うさ

一刻も早く、伊東君と引き離したかった

烝を闇から救うのは
私だけの役目なんだ



部屋を用意して貰い


2人になる



「もう、大丈夫だ 烝、すまない
烝の様子がおかしいことに気がついていた
私は……
懐妊のことで、烝に軽蔑されていないかと
また、自分のことばかり
烝が辛い経験をして、苦しんでいるのに
もっと早く、烝の口から聞けば良かった」



「怖かった……」



静かに涙を流す
烝が、ポツリと言った




「勇に嫌われると思ったから…怖かった」


「嫌いになんて、なるものか!」


「闇に落ちそう…」


「私がいるんだ
落ちたりしない!落ちないように
しっかり掴みなさい!」


烝の手が私の背中に回った
小刻みに震えているのが伝わる


可哀想に


初めてではないしろ
嫌だったはずだ





どうすれば、烝を救える?






私の出した答えは






「烝 私が忘れさせてあげるよ」










烝を抱くことだった














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