浅葱色の忍
それから、しばらくして




復帰した仕事の合間に
借りてる家で、ぼぉーーっとするのが
日課になった



「烝」


!!!



庭に勇が、現れた


ここは、教えてないのに


「なんで!?」


「お恵ちゃんが、教えてくれたんだよ」


「あ… 」




入れ替わりするとき、ここを使った…




「お恵ちゃんが、烝が泣かないから
心配だって…慶喜様に相談したそうでね
慶喜様が、私と2人になる時間を作るようにと、指示を出されたんだって
あれから、よくここにいるっていうから
来てみたんだ 隣、いいかい?」



「どうぞ」




ぎこちなく、並ぶ2人



子供の事で、ギクシャクするのは
もういややな



「深雪の妹は、順調!?」



なぜか、子供の話を振ってしまう



「あぁ」


「そか…」




アホや…


ホンマにアホや…



余計、気まずいやん




「嬉しかったよ
烝に私との子がいたんだと思うとね
残念だったが、また機会があるだろう
烝が、私を受け入れてくれるならね」


穏やかに、勇が言いながら
俺の頬を指で撫でた



「一緒に供養に行かないかい?」



勇… 

俺は、勇の胸に顔を埋めた



「行く」



比べちゃ駄目なのは、わかってる
でも、慶喜の時はひとりだった
慶喜には、他に子供が生まれて
とっても幸せそうだったから

今回も、そうだと思っていたから


勇からの誘いが、嬉しくて泣いてしまった



立場とか、人目とか
何にも気にせずに、言ってくれて

俺の欲しい言葉で、悲しみを和らげた



やはり、勇は凄い人




「勇 好き」



「私も 烝が好きだよ」




恥ずかしいくらい泣いて

2人で水子供養した




「親としての責は、果たせたかな」




ハの字になった勇の眉毛




「どうやろ」



同じ眉をしているだろう俺




勇の言葉に
少しの間だけでも、親になれたんだと
嬉しくなった






局長と忍に戻るけど


父と母か… 


勇となら、良い親になれそうやな

























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