浅葱色の忍
慶応3年  秋
夏の慶喜襲撃があって以来

山崎は、監察方の訓練を強化した





穏やかな日々が続き



「山崎」


屋根上で、転がっていた山崎を
吉村が見下ろす

両腕で顔を覆っている様子に
心配になる


「山崎?」

「なに?」

「具合悪いんじゃないか?」

「んー ちょっと…」

「やっぱり! 布団で寝ろよ!」

「ぽかぽかして気持ちええねん」

「布団で寝ろって!副長に報告しとく!」

「ええって、寝てたら楽になったし」



吉村が山崎を起こそうとするのと
山崎が起きるのが、同時になり


吉村が後ろ向きに屋根から落ちそうになる


山崎が助けようとしたが

ジタバタした吉村の肘が山崎の鼻に当たり

山崎も吉村と



バタバタ ドターーーン!!!



屋根から落ちた








物凄い音に、幹部が刀に手をかけ
駆けつけてきた




「…うぅっ」


「いってぇ…」




「お前らかよ…」


永倉が、安堵した次の瞬間


「山崎君!!!」


近藤が手拭いを出し
裸足のまま、庭に降りた



「うわっ!大丈夫かよ!?」



大量の鼻血を出し、蹲っていた山崎の鼻に
手拭いを当て、背中を擦る



「山崎ごめん!肘が当たったから!
局長!山崎具合悪くて!!」


「今朝、具合悪いと報告に来たから
知ってるよ
吉村君、君は大丈夫かい?
どこも怪我はないかい?」


「……はい 俺は、大丈夫です」


「良かった! 山崎君、立てるかい?」


少し立とうとするが、膝が折れる


「仕方ない抱えるよ
吉村君、ついてきてくれるかな」


「はい」


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