浅葱色の忍

山崎烝

斎藤さんを連れ戻し、報告も終えた

ぶらぶらと屋根上を歩いていると
尾形がいて

俺は、隣に腰を下ろした



「何の任務ですか?」


朝帰りは、バレているだろうけど
任務の内容を聞いてくるなんて
どないしたんや?


探られてる?



「そのうちわかる」



適当に答えると


「山崎…」


真面目な顔で見てくる
嫌な予感がした



「女……なのか?」



尾形からそんなことを聞かれると
思ってなくて

固まった


「体調崩して局長の部屋で休んでた日
様子見ようと……局長の部屋に行ったら
吉村と局長が話してるの聞いたんだ」


「……そか」


「嫌だから……女と組むなんて……」


「うん……わかった」





昼に召集され

尾形は、副長にもその意思を伝えた






副長の部屋を出ると吉村が
捨て犬のような顔をして待っていた



「尾形となんかあった?
尾形は、何も言わなくて…」


「女て、バレてん」



苦笑いするしかなかった










自室で、壁に凭れ両膝を抱えた


あそこまで拒否されるとは…






落ち込みつつも、なぜか
頭がスッキリしていた



悲しいとかより、やっぱりって気持ち



ふと、藤堂さんの事を考えた



藤堂さんは、どんな反応をするだろう

烝華や新選組の為に、伊東さんを選んだ
自分の思想を抑えてまでも
我慢して伊東さんについていった
永倉さんや原田さんという友を切り離した


土方さんは、俺と藤堂さんが似てるという


だったら… 
藤堂さんは、受け入れてくれるかも



気持ちを楽にしたいだけなんだろうけど


会いたくなった



拒絶されたらどうしようなんて
不思議と考えなかった




女でもええよって、認められたい





副長に与えられた時間内に戻る為

月真院に忍び込むと
昨晩と同じ部屋を目指した


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