浅葱色の忍
屯所に戻る前に、壬生の家に寄った 


慶喜に貰った 
ここに俺がいたと分かる物

着物 簪 紅 それらを風呂敷に包み

屯所に戻ったのは、昼過ぎ



「遅かったな… またしばらくとか思った」



「なんか、あったん?」




幹部が勢揃い
和やかとは、言い難い雰囲気に
俺から質問をしてみた



「土方さんが、狙われているらしいんだ」


「今朝、烝華んとこの番頭がさ
走って知らせに来てくれたんだ」


「ところが!土方君ときたら!
島原に行こうと言い出したんだ!」



永倉 原田 源さんが、困ったって顔



「囮になるってこと?」


「おう」



土方さんは、なぜか自信たっぷり




「副長? アホちゃう?」




「あ?お前は、俺に味方すると思ったのに!
引き籠もって、迎え撃つなんて
俺の性分じゃねえ!」


「島原行ったら、巻き添えになる奴が出るとか、考えへんの?」


「そこは、待ち伏せして対処する!」


「土方君!!!
女性に怪我をさせたらどうするんだ!?」


「源さんの言う通りやで」


「女といるから、油断してると思わせるんだ
君菊に頼んでみるさ」


「アホ」


副長の前に座ると前髪をかきあげる


「俺がおるやん」


副長は、目を見開く


「お前!! 本当に似てるな!!!
よし!島原に潜入してこい!」





島原に行き


着替えが終わり、君菊が作法を教えるからと待っていた
事情を説明せなやし、丁度良かった




「!!!烝華…」


「の、兄や!」


「……烝華やろ?うちは、騙せんえ?」


「兄妹やさかい よぉ似てるんやろ?」


女の勘?


確信した目や


「土方はんらには、言わへんよ?」


「……烝華は、死んだんや」


「あれ、男はんやろ」



……あかん



「土方はんに男はんみたいやって
言ったら、そんなことあるかって
言われた……うちは、烝華がわかる!!」



……



……



「君菊……はぁ……なんやねん…ホンマ」



「支度できたか!? おお!!
そっくりだな!!山崎!!ヘマすんなよ!」

「君菊!しっかり作法仕込んでくれよな!」


永倉と原田が、俺の出来栄えを確認しにきて、さっさと出て行った



「作法は、ええわ
知ってるし…
それよか…説明の方がいるやろ?」



苦笑いしながら、君菊を見る


その目には、すでに涙が溢れていた




















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