浅葱色の忍
永倉が無傷で戻って来た


「土方さん… 敵を誉めるのもどうかと思うが、士気の高さとよく訓練された動き
厄介だ 少し近づけたんだが
山崎が来てくれて助かった
罠だったんだ… 全滅するとこだったぜ」


「山崎は?」



「すぐ戻るって」



「無茶しやがって…」


「いや、監察方が活躍してる
なんか、訓練してたのはコレだったんだな
監察方のおかげで、相手の位置とかわかる
それに、俺らを守ってくれたり
すげぇ助かったよ」



そういや… 作戦とか…


いつか、戦が始まることを予想していた?





しばらくして、山崎達が戻った




「えらく機嫌が悪いな…」


山崎は、ムスッとしていた


「山崎が、敵に潜入したいっていうもので
説教したとこです」



……尾形、ありがとう

かっちゃんに怒られるの俺だからな……




「副長… こんな時になんですが…
敵が、錦の御旗を掲げているかもしれません 山崎は、それを確認したいと…」


「!!!なんだと!!!」


「大阪で、立て直しをするべきや
もしも、本物の御旗やったら逆賊や
戦況不利の中、無理してこちらの手数を減らすと立て直しがきかんくなる
監察方全員で、今、外におる奴らに知らせるさかい、支度しといてや
監察方は、全員支度出来てる
あと…… 一刻して戻らない場合は
死んだと思っていい 出発してええで」



「待て…… お前も行くのかよ」


「そら、行くやろ アホか
戦やってんねん、俺の心配せんと
休んでる頭、働かせえや」



山崎の言う通りだ

立て直しをするしかない



「大阪へ行く!支度しろ!」






殿軍の原田が戻ってから

状況を説明した



「わかった…支度する」



妻子に別れを告げる暇もない

すまねぇ




次々に戻る隊士と監察方


「戻りました」


「…尾形、あいつらと一緒じゃないのか?」



嫌な予感がした…





「監察方全員で動くとき
山崎と吉村が殿軍の役割をします」


「んじゃ… まだ帰って来ないのか?」


俺より先に反応したのは、永倉だった



「……アイツ、羽織着てない
味方に間違われる可能性もある」



全員が、沈黙した




新選組の持ち場で、うろうろしていたら
確かに、敵と間違われる

影ではなく、表にいるのだから

















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