浅葱色の忍
火を放たれた城から
山崎を抱え、土方が外に出る



「あれ?かっちゃんがいねぇ」


「多分、尾形が迎えに来て港やな」


「お前… どんだけ準備してんだよ」


「もしも、やってんけど
死ぬとこまで全部になってしもた」


「んなこと言うな!」


「大丈夫、トドメはお願いせえへん
港の近くになったら降ろして、歩いてく」


「おう」


「土方さん 勇をよろしくお願いします
俺の分も…… 一緒におってな?」


「ああ 泣くなよ?化粧が落ちるぞ!」


「泣かへんわ!」


「山崎… あの時、お前が前に立たなかったら… 銃弾は… 俺の心の臓に当たってたんじゃないか?」


「俺… そんな背、低かった?」


「女にしては、高いが…低いだろ…」


「はぁ~聞きたなかったー
俺…小っちゃいんやー
あーなんか嫌やー」


「ぷっ ありがとな
お前の主じゃねぇけど…助けて貰った
お前は、俺の命の恩人だ」


「よしゃ!感謝の証に
俺が死ぬまで、偉そうにすんなや?
拳骨なしやで!?」


「なんだよそれ…」


「痛いんやって…ホンマ!
ふふっ 沖田と何かイタズラ考えよ!」


「あのなぁ!んな元気あんなら死ぬな!」


「ホンマ、あーいや、こういう
土方さんが友になってくれて良かった
楽しかったで」


「俺も、楽しかった
驚かされてばかりで…
心配もしたけど、お前頼りになるし
色々、教えて貰ったな」


「もっと教えとけば良かった
ちょっと心残りや
土方さんは、引き上げられるで?
頭パンパンになるくらい使う日が近いで」


「今のうちに空にしとかねぇとな
港に着いたぞ」











< 182 / 264 >

この作品をシェア

pagetop