浅葱色の忍
慶応4年  春
城に入ってきた敵を

近藤らが出た方に向かわせないように倒す



山崎の廻りに、たくさんの人が倒れていた



疲れで、ふらつくと


その隙をついて、刀を振り下ろされる



カキンッ



土方がその刀を受けた




「遅っ」



土方が山崎を見る



「そうか?俺が来なくても
大丈夫そうじゃねえか!」


「アホ あと任せたで…」



壁に背中を預け、土方を見れば


敵なしの強さ 



山崎は、無意識に笑っていた



敵を制圧した土方が、刀を仕舞う



「笑ってんじゃねぇよ」


「え? 格好ええなぁと思って見ててん!」


「かっちゃんに妬かれるつーの!」


「ふふっ 勇のが、格好ええやろな!」


「お前なぁ… ハッキリのろけるな!」


「しゃあないやん!
ホンマにそう思うねんもん!」


ふらふらと長巻を杖代わりに歩く


「おい!そっちじゃねえだろ!」


「こっち! 手伝ってや!」



山崎が自分の荷物から

慶喜に貰った物を出し始めた



「女物の着付けなんてしたことねえぞ…」


「言う通りしてくれたらええ」




着物の生地を触り




「これ、上等な奴だよな」


「慶喜から貰った」


「……慶喜様も、知ってたんだな」


「そらそうや 嫁なんや」


「はあ!?」


「あ、元嫁や」


「はぁ~ なんか、驚くの疲れ……おい!」


「なに?」


「隠せよ!!」


「隠す手がない
隠して欲しかったら、着せろ」


「……ったくよぉ…なんつー女だ!」




着付けが終わると髪をおろし
伸び放題の毛先を綺麗に整える


「土方さん 器用やなぁ」



「姉さんの髪してたからな」



その間に化粧をする




「ふぅー」


「かっちゃんが喜びそうだな」


「そか?」


「別嬪だ」


「おおきに」








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