浅葱色の忍
何か出来るとしたら


笑って送ることだろう



泣くものかと



顔を上に向けた



空……







烝…




辛かったという頃



こうして泣くのをこらえていたのかい?



空姫と呼ばれるほど



空を見ていたのかい?






「眩しいな…」






眩しさに目を閉じれば

泣かないと決めたはずなのに

涙が頰を伝う




こんな泣き虫の主を




好きだと言ってくれた




私の忍が… もう… 息をしていない





「かっちゃん……」




歳が、烝の頭を撫でる



「コイツ、水葬して欲しいって…
支度しないと…」


「優秀なのも困り者だな
私に、何もさせてくれない」


「してやったじゃねえか
幸せに
コイツのこんな顔、見たことねえよ」


「そうか?」


「あぁ」









結局、船の者にもバレ
新選組と合わせて多くの者に見送られた



「本当、幸せ者だな…山崎」







歳が、烝のクナイを持たせてやり

総司が、烝に羽織をかけた

藤堂君から貰ったと

喜んでいたあの羽織を





私の最も愛すべき、忍



山崎烝が、海に消えた









懐にあるピストルがズシリと
烝が守ってくれているような
存在感を出していた






これからも、一緒なのだろう














「本当に、優秀な忍だな…」





















おわり
























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