浅葱色の忍
慶喜が城に行くのに、側室として
ついて行くように言われて

支度したものの


どう見ても、隣の女中の方が綺麗だ



「なにか?」


「いや、綺麗だなって
色気もあるし、俺が男ならお前がいい」


「/////まあ お戯れを!」



本気で言ってんねんけど



「こら!言葉遣いに気をつけろ!
それに、お前!女なのに、女を口説くな!」


「思ったこと言っただけだ!
別に口説いてねえよ!」


ゴンッ



「いてててててててて……」


「慶喜様に恥をかかせるなよ!
言葉遣いには、気をつけろ!!!よいな?」


「はい」





久しぶりに慶喜に会い

丁寧に、女らしく挨拶をする
貰った紅の御礼もきちんとした



「気に入らなかったか?」


女中にも言われたっけ?


「とても良い色だと思いましたよ!」


「そうか…」


え? なに? 


なんで肩を落としているんだ?



久しぶりに外に出たから、歩きたいと
お願いし、籠のそばを歩く



たんなる出掛けに、使うの勿体ないやん?


初めての贈り物やん?


女らしくなれと願いがこもっていても

俺にとっては、宝物や

簡単に使われへん!






ん?




殺気を感じた



前を歩く平岡に、ちょこちょこと近づいた


「おい 狙われてるぞ」

「ジッとしてろ!」


気づいてんならいいけど…





現れた敵との乱闘を見守った



この格好や
暴れる訳にいかんか…



と、思ったけど




籠をめがけて走って来る奴がいた

仕方ないよね?




ドカッ 




懐に入り、鳩尾に肘を入れた




「姫!!」



「あ」



めっちゃ 睨まれて…



「後で説教だからな」




小声でそんなん言われた




はぁー 仕方ないやんかぁ





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