浅葱色の忍
「馬鹿者!側室とは、健やかであるもの!
ろくに食事をとらずに、重い荷を運び
月のもので倒れるなど……」


歯をギリギリした後
平岡は、プイッと外を向いた


さすがに寝込んでいる俺に
拳骨は、出来ないらしい



そういえば…


食べてなかった





「平岡君 心配でたまらなかったと
言えばいいのに…」


「なっ!! 俺は、心配など!!」



するはずない
平岡は、俺の教育係になり

うんざりしていることを知っている




「烝華 少し食べれるかい?」




「いらない」





「お前なぁ!!食えば元気になるんだ!!
無理してでも食え!!
そんな細いから、色気がねぇんだよ!!」




「……」

無言で、起き上がると
梅沢が手に持つお粥をとり
口に入れた


ポツリ ポツリ


涙が手に落ちる



お粥に入らなくてよかった

とか、思いながら


時々、嗚咽だか、吐き気だかで


喉が痛くて




「無理は、しなくていい…
もう、食べなくてもいいよ…」



梅沢に言われても、根性で食べ挙げた



俺は、慶喜に好かれたい

食べて色気が出るなら、無理もする





だけど





食べたくらいで色気が出るはずない

平岡に、まんまと騙されたと

気がついたのは


月のものが終わり
久しぶりに鏡の前に座った時


顔色、悪

細っ…



我ながら、色気のなさにガックリ




「烝華様!慶喜様が、烝華様にと!」




渡されたのは、紅……


あぁ…… 


少しは、女らしくしろって?




「あれ? このお色、お気に召しません?」


「ううん いい色だと思うよ」



可愛い人がつければな





「では、今日は、こちらを使いましょう!」


「違うのにして」







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