浅葱色の忍
「アイツ、本当に虚弱ですね
また寝込んでしまいました」


平岡は、烝華の事を側室ではなく
自分の妹のように思っている


烝華が、平岡はすぐ怒るって
拗ねていたことは、内緒


「こら、平岡君
慶喜様の側室なんだから…」


「そうでした……
そういえば、昨日の散歩
慶喜様に大切な話があると言ってましたが
何だったんですか?」


「……ああ、しばらく呼ぶなと」


「アイツ!!また、勝手な!!
説教してやる!!!」


「平岡君 厳しくしてばかりだと
嫌われますよ」


「とっくに嫌われてるだろ」


「昨日、慶喜様を呼び出すのに
平岡君を使ったんだから
信用してのことでしょう?
烝華から、慶喜様を呼び出したことは
今までなかった
あの性格ですから
大切な話を言いそびれたんでしょうね」


「それは、呼ぶなと言う話だろ?」


「はあー 慶喜様も平岡君も
これだから……」



梅沢が、面倒くさそうに言った





そして、ここだけの話


と、前置きをして








烝華の両親から
荷物が届いたと言った


「それがどうした」



「それをうっかり女中が開けてしまい…」



「だぁー!早く言えよ!」



「ふふふ やはり、俺の口からは…
烝華が自分で慶喜様に言いたいと
まわりに口止めしているらしいので」


「は?教育係の俺は、聞いてない!
烝華を呼んでくる!
白状させてやる!!!」




平岡が立ち上がると


女中のひとりが駆けてきた



「大変です!ひっ姫様が…」



真っ青な顔で、口をパクパク







「どうした?」




「御正室様の女中を叩いてしまいました」



「あの馬鹿!!」





平岡が部屋を出て
その後を梅沢が追った




「叩いた理由は?」


女中に問うと



「あちらが、2人にしてほしいと
私は、席を外しまして…」



なんにせよ、手を出すことはいけない


どうしたんだ?








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