浅葱色の忍

山崎烝

戦に参加すると言えば
勇はもちろん
兎に角、副長が許すはずがない


わかってんねん



忍は、陰に隠れてとかな、あかんって







だから、陰に隠れて

万が一の時に備える!



どーせ、怒られるんやから!









届いた長巻を手にし

屯所ではなく、新選組の配置先で潜む


新選組が到着すると
副長にだけ、ここやで!って姿を見せる



鬼か?



ってくらい、怒ってはるけど

出番がなければ、大人しくしとく

という意味を込めて、隠れる
 


頭の良い人やさかい
きっと、理解してくれるはずや!



久しぶりに持つ、自分の長巻を見つめ




ふと、慶喜のところを出た日を思い出した




日陰の生活と、戦に備える生活が嫌で
これを手放した


あの日、俺の決意は固かった


2年たち


まさか、またこの長巻を手にするとは



護身用にクナイは持っていたが
使うことはなかった



使うほど危険なことに、身を置かなかった



自ら、忍を辞めたのに



あの固い決意を



簡単に崩した勇は、やはり凄い



勇の人柄に、皆が集まったことは
とても自然だと思う



副長のように、改心し
沖田さんのように、心を開き



いつか、本当の自分をさらけだして
新選組の皆と笑い合える日が来るやろか



副長に掴まれた胸に手を当てる



女やと知っても



使ってくれるやろか





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