浅葱色の忍

土方歳三

隊士募集の為、かっちゃんが
永倉 藤堂らを率いて江戸へ


「本当に行かなくてよかったのか?」


「しつこい!ええて言うてるやん!」


「女とは、喧嘩せずに過ごせたんだな」


「いつも喧嘩してへんし!」


「烝華が体調崩してたの知ってるか?
見舞い行ってやれ」


「いつものことや」


「冷てえな
いつも寝込んでんのに
心配にならねえのかよ」


「ならへん」


「かっちゃんと烝華のことは?」


「副長!烝華の事は、気にしてへん!
小っちゃい子供ちゃうねん!
世話やいたら、うっとぉしがられる!」


「そうか? 一肌脱げばいいのに」


「頼まれてもおらんのに?」


「…そりゃ、そうだな」



山崎と話がしたい

だが、正直あまりネタがない



「副長 1つ聞いてもええか?」



「おう」



「もうひとり忍欲しない?」



「いるのか?いるなら会ってみてぇな!」


山崎が、ニコリと笑い


「ほな、慶喜に頼んでみるわ」


「あ!?それは、駄目だ!」


「なんで?」


「手薄になるだろう」


「ならへん
そいつ、慶喜の家臣とかちゃうし
元々、忍でもないんや
ただ、素質があるのは確かや!
副長なら、気に入るはずやし
俺と違って、話もしやすいで!?」



「俺がお前と話しにくいみてえだな」


「ちゃうか?」


違わない…

実際、自分から何かを喋ることがないから


未だに山崎の女がどこの誰かも

わからないくらいだ





「局長が帰って来るまでに
どうにか探して貰います」



「おう、任せた」



「クスクス」


「なんだよ」



「俺は、副長の事、話しやすいと思ってるで
女の相談も乗って貰ってますし  では」




シュッ



天井に消えていった



言い逃げかよ









俺だって話しやすいつーの!


ただ、ネタがねえだけだ!!







< 81 / 264 >

この作品をシェア

pagetop