浅葱色の忍
偶然とはいえ


こう何度も近藤さんに出会すと
やはり、運命という縁を感じる



「こんにちは」

「こんにちは 丁度よかった!
壬生寺まで、一緒にいいかな?」

「え……また?あははっいいですよ!」



ホンマ、いつも迷子やねんな?



のん気に話をして
まんまと屯所の中まで
ゆっくり話をしようと連れられ


「あ!山崎さん!」



沖田さんに騒がれ


なんでか、囲まれてしもた

試衛館という、近藤さんの道場からの
仲間が、1人づつ名乗りを上げる



「単刀直入に言う
近藤さんは、気に入ったら
一途っていうか、よく騙される
お前の事も疑っている」


「そうそう!よく変な人連れてくるよね!」


「そうなんだよ!今回も?
とか、ちょっと心配でな!」


「忍術とか使えるらしいし
なんか、得体しれなさそうだし」



「あはははははっ!!!」



皆、近藤さんが大好きやねんな!

あんまり素直に言われると
気持ちがいい
思わず笑ってしまった


「何がおかしい」


「あ、すみません!
入隊するために来たわけじゃなくて
そんなに、警戒せずともいいですよ!
まぁ、素性も知れない俺みたいなのと
近藤さんが仲良くしてくれるから
俺も調子乗ったというか
あははっ 近藤さん
あまり、皆さんに心配かけてはいけません
んじゃ、俺は失礼します」



「私は、入隊させる気で連れて来たんだ!」



帰ろうとした俺の前に
近藤さんが立ちはだかる


「忍、辞めたんです」


近藤さんは、真っ直ぐに俺の目を見てる


「フフッ ちょっとだけ!
ほんのちょっとだけですけど
近藤さんの為なら、って思いました
思っただけです
入隊は、しません」


「山崎さん!!」


近藤さんの手ををすり抜け


ニコリ



「もう、迷子にならないように!じゃ!」



追って来ないのは



「無理強いは、駄目だ!」


って、源さん?だっけ、あの人の声がしたからだろうけど


追われなければ、それはそれで
少しさみしいとか

この複雑な気持ちを収めるには








どないしたらええんやろ…













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