浅葱色の忍

近藤勇

やっと帰って来れたと…


烝におかえりを言いたかったのに






まだ、しばらく慶喜様の手伝いをする
しばらくとは、どれくらいだ?

行くなと言えれば

行かないでくれと言えれば





いてくれるだろうか







そんなことを考えながら、烝を見ていたら

不意に目が合い


つい、そらしてしまった












「かっちゃん あれは、ねえぞ」




伊東君の前では、何も言わなかったが
歳が、わざわざ私の部屋に来て
真顔で言った


「あれ?」



「山崎から目をそらしただろ!
あいつは、好きで戻ってるわけじゃねえ!
忘れたのかよ!山崎は、新選組を選んだ!
向こうでちゃんとやれてるか
心配じゃねえのか!?俺は、兎も角
かっちゃんは、山崎の主だろ!!
本当に伊東さんに譲る気なのか!?
ちったぁ、山崎の気持ち考えろよ!」




スパンッ









歳が、言ってくれなかったら


私は、自分の事だけを考えたままだった





自分が気に入った伊東君を烝が気に入らず

勝手に腹を立て







烝を傷つけたんだ…























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