イケメン兄の甘い毒にやられてます
…昨晩の雷雨は、すっかりおさまり、朝陽がカーテンの隙間から溢れていた。

その眩しさに、夕陽が目を覚ました。

「…おはよ、起きたみたいだな」
「…ッ?!」

夕陽を抱き締めたまま、数センチの距離で圭吾が微笑みそう言った。

夕陽は驚いて目を見開く。

「…よく眠れたみたいで良かった」
「…おはよ、ございます…昨晩はありがとうございました」

と、言いつつも、離れようとする夕陽。

が、圭吾は離す気は、一切ないらしい。

…掛け時計に気づいた夕陽は時間を見て、圭吾に言う。

「…6時過ぎてますけど、お仕事は?」
「…うん、今日は夜勤だから、気にしないで」

そう言いながら、夕陽の髪を優しく撫でる。

「…私は学校なんですけど」
「…高校が始まるまで、まだまだ時間あるだろ?もう少しこのまま」

「…女の子は、準備に時間がかかります」
「…そうだろうね」

「…圭吾さん、」

「…夕陽を独り占めしたいから、この部屋に閉じ込めてしまおうか?」

「…なっ?!///」

真っ赤っかになった夕陽を見て、圭吾はクスクスと笑った。

「…からかわないでください!」
「…夕陽はカワイイから、苛めたくなっちゃうんだよな」

「~~~~っ!」

声にならない声を発する夕陽に、圭吾は相変わらず可笑しそうにクスクス笑いながらようやく夕陽を解放した。
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