black×cherry ☆番外編追加しました
「お疲れさまでした。ええと。サークルの方とは待ち合わせをしてるんですか?」

駐車場に着き、シートベルトを外していると、馬場さんからの素朴な疑問。

私はドキッと背中に冷や汗をかく。

「い、いえ・・・。ひとりです」

「えっ!?お嬢様がお一人で!?海でランニング・・・ですか」

「・・・はい・・・」


(どうしよう・・・どう考えてもおかしいよね)


よく考えてみれば、服装だって運動をする服じゃない。

白い半そでのカットソーに、サックスブルーのロングスカート。

靴は黒崎さんに会ったら怒られないように・・・と、フラットシューズを履いてきたけど、やっぱり、ランニングをする靴じゃない。

運動着の着替えもないし・・・。

あまりの自分の詰めの甘さに、私はショックを受けていた。

「あ、あの・・・」


(どうしよう・・・)


どう考えてもおかしすぎる。なんて言い訳をしたらいいだろう。

嘘だと責められるかも・・・と、冷や汗を流しながら不安な思いでうつむくと。

「いいですよ」

馬場さんが、バックミラー越しに「ふふふ」と笑った。

「私はよくわかりませんが。今は、おしゃれな服を着て一人でランニングすることもあるんでしょう。コンサート前ですからね、息抜きも必要です」

「!」

いたずらっぽく、馬場さんがまた笑う。

どうやら、馬場さんには嘘だとばれてしまったようだ。

けれどそれをわかった上で、私を自由にしてくれた。











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