black×cherry ☆番外編追加しました
「ただいま・・・」


(・・・あっ・・・)


8月に入った土曜日。

千穂ちゃんとのショッピングを終え、自宅に帰ると、隣家に住むおばあさまがリビングでお茶を飲んでいた。

大きな木製テーブルに広げられた紅茶セットとお茶菓子の様子を見ると、長時間、ティータイムの時をここで過ごしていたようだった。

「おばあさま・・・。こんばんは」

リビングの入り口で挨拶をすると、おばあさまは、私のことを上から下まで眺めるようにじっと見た。

そして、訝し気な顔で言う。

「おかえりなさい、咲良。お友達とお出かけだったのよね?随分とかわいらしい恰好だけど」

「はい・・・」

「お友達と会うだけなのに、そんな恰好をする必要があるのかしら」

フリルのついたノースリーブの白いシフォンのブラウスに、レモン色をしたミニ丈のキュロットスカート。

これは以前、買い物に行った際、千穂ちゃんが選んでくれたものだった。


(確かに丈も短いし、慣れない感じはあったけど・・・)


今までは、きちんとして上品な感じの服が好きだった。

色はベージュや紺色で、形はワンピースを好んで着ていた。

けれど千穂ちゃんは、「もっと明るい感じの服も似合うよ!」と言って、この服を一緒に選んでくれたのだ。


(こういう服もいいなって、着ると心が弾んだから、最近では一番のお気に入りになった服なのだけど・・・)


私の気持ちとは裏腹に、おばあさまはため息をつく。

「最近やっと、前の咲良に戻ったと思っていたんですけどね・・・。そんな腕や足を出した服、もう着るのはやめなさい。そういう格好をしてるから、男の人もあなたに声をかけるんですよ」
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