black×cherry ☆番外編追加しました
当時、パパは「天才外科医」などと新聞や雑誌で紹介されたこともある。

そのため、自分の妻を治せないはずはない、治せないならヤブ医者だ、もしくはわざと失敗したんだ!と、パパを責めたそうだった。


結婚したばかりの妻が、自分の車の助手席で、事故で重症を負ってしまった。

自分自身はかすり傷ですんだのにーーー。

巻き込まれた事故とはいえ、統一郎氏は自分を責めた。

そして、最初に手術した「天才外科医」であるはずのパパも、責めずにはいられなかったようだった。

「誰かのせいにでもしないと、本当に気が狂いそうだったんだろう。そこだけは、わからないでもないけどな・・・」

昭一おじさまが呟いた。

やりきれない思いがする。

「・・・それで、真有李さんはずっと入院して治療を受けていたんだけどな、容態はいっこうに変わらない。それでだな、生田自身も精神的に患って、それがどんどん悪くなっていったんだ」

統一郎氏は、当初から病院と主治医であるパパに不信感を抱いていた。

それが次第に、他の医師や看護師にまで及んでいって、見舞いに来ては誰彼かまわず暴言をはき、暴れるようになってしまった。

「それに、真有李さんを『早くここから出してあげたい』といつも言ってたらしくてね。それを見かねた看護師長が、和馬くんと相談して、転院を勧めたんだよ」

真有李さんのために、毎日面会に訪れる統一郎氏。

自宅から通いやすく、周りの環境もいい、統一郎氏自身の精神的ケアも担ってくれる病院に、ちょうど空きが見つかった。
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