black×cherry ☆番外編追加しました
「へえ。それならマシか。父親もあれだったら、本気で周りが迷惑だ」

黒崎さんは、そう言って大きな息をはく。

まさに、迷惑をかけられてしまった人だった。


(今回のお誘いは、やっぱり迷惑だったよね・・・。なんだかんだで、黒崎さんには迷惑ばかりかけてる気がする・・・)


出会った時から、今日までのことを思い出す。

いつも「怖い怖い」と避けているつもりなのだけど、結局いつも避けられず、迷惑をかけてしまっている。


(そう思うと、私の『怖い』より黒崎さんの方が大変な気が・・・)


気づいた私は、先日の件から改めてお詫びをしたい気持ちになった。

しつこいことは、重々承知で。

「あの・・・先日は、本当にありがとうございました。シャツも汚してしまったし・・・重かったですよね。黒崎さんは、身体大丈夫でしたか」

私の問いに、黒崎さんは少し驚いたような顔をした。

けれどすぐ、鋭い目に戻って言った。

「おまえに心配されるとは思わなかったな・・・。あのぐらい大丈夫。別に重くもなかったし」

「そう、ですか・・」

「ああ。子どもを抱えたみたいなもんだし」

「!?」


(こ、子ども・・・)


その言葉は、なんだかとてもショックだった。

大したことない、と言いたかっただけかもしれないけれど、私はもう21だし、子ども扱いは正直傷つく。

特に・・・体型にコンプレックスを持っているので、今の言葉は必要以上にぐさりと刺さったのだった。


(あればいいなってところに、ボリュームがほとんどないからな・・・)


痩せすぎだとは思ってないけど、細いことは自覚している。

それに比例するように、女性らしい丸みがあんまりなくて寂しいことも。

黒崎さんがそこまで気づいて言ったことかはわからないけど、私はショックを受けていた。
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